黒色ニッケルめっきとは、その名の通り、黒い被膜のニッケルめっきです。
前回、メタルキット「ダイオウグソクムシ」に様々な種類のニッケルめっきをつけましたが、
その中の尻尾の部分が、黒色ニッケルめっきです。
同じニッケルめっきでも、かなり色見が違っていることがわかります。
黒色Niめっきが黒く見えるのは、被膜の構造が特殊だからです。
被膜のSEM画像(5000倍)を見ると、細かな凹凸があることがわかります。
凹凸があることによって光が吸収され、黒く見えるのです。
また、光沢もなく非常にマットな見た目になります。
反射率とは「波動が媒質の境界面で反射するとき、入射波のエネルギーに対する反射波のエネルギーの比」とあります。
つまり、「光が物質に当たったときの、入った光と反射した光の比」ということでしょう。
反射率50%なら、入った光(100%)のうちの50%が反射した、50%は吸収された、ということです。
表面がつるっとしていて光沢があるなら、反射する光も多くなりますし、
表面がざらざらで凹凸があれば、光は吸収され、反射する光が少なくなります。
また、光は波長です。波長にもさまざまな大きさがあります。
どの波長を反射するかも、表面の状態によって変わってきます。
と、少し難しい話をしましたが、とりあえず各種ニッケルめっきの反射率を見てみましょう。
縦軸が反射率、横軸が光の波長です。
見てわかる通り、光沢ニッケルめっきは反射率が高いです。
表面がとげとげしている粗化ニッケルめっきは、少し反射率が低いことがわかります。
とげとげの粒子が光を吸収しているので、低くなるのです。
そして黒色ニッケルめっきは、どの波長でも反射率10%以下、可視光域(400-800nm)では5%以下となっています。
ほとんどの光を吸収してしまうのです。
反射率を見ていただいてわかる通り、黒色ニッケルめっきは非常に反射率が低いです。
そのため、光の反射を抑えたい部分、カメラのレンズ周辺、光学機器関係に有用です。
また、黒色ニッケルめっきは無電解めっきなので、形状が複雑な製品にも均一な被膜をつけることが可能です。
黒色ニッケルについて特徴をまとめると、以下になります。
①凹凸のある被膜
②低反射率(可視光域で5%以下)
③複雑な形状にもめっき可能
光の反射を抑えたい製品に有用です。
黒色ニッケルめっきつきましては、少量試作を承っております。
ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。