無電解Agめっきは、Cu材の表面に均一なAg被膜をつけることができるめっきです。
通電の取れないものや、複雑な形状の製品に対して均一にAgめっきを付けることが可能です。
無電解Agめっきの外観は、美しい銀白色となっています。
本来無電解Agめっきに光沢はありませんが、素材と比較すると、素材の光沢を損なわない程度の光沢があります。
SEMの画像を比較すると、無電解Agめっきは細かな粒子が密集しているのがわかります。
また素材のCu表面の溶解が穏やかなので、素材の光沢を維持することができるのです。
この無電解Agめっきは置換型のめっきなので、膜厚は0.2~1.0μm程度付けることが可能です。
液は酸性なので、レジストでマスキングした製品でも、レジストにダメージを与えることなくめっき可能です。
電解めっきと無電解めっきの違いについては、次項から説明致します。
電解めっきとは、電気を流してめっきを行う方法です。
電気を流さないといけないので、外部電源と接続しなければなりません。これを「通電を取る」と言います。
めっきしたい製品をマイナス、めっきする金属や不溶性の金属板をプラスにつないで電気を流すことでめっきを行います。
一方無電解めっきとは、字の通り電気を流さずにめっきを行う方法です。
どのようにしてめっきが行われるのか、原理を簡単に説明します。
無電解めっきの原理として、2種類あります。
①置換型
めっき液中に素材となる金属を浸漬させると、表面が溶解します。その際に電子が離れてしまいます。
その電子を受け取ってめっき液中の金属イオンが還元されて、素材となる金属上に析出します。
②自己触媒型無
めっき液中に含まれる還元剤が、素材となる金属上で酸化されます。その際に電子が離れてしまいます。
その電子を受け取ってめっき液中の金属イオンが還元されて、素材となる金属上に析出します。
金属イオンが還元されて金属皮膜(めっき)となるための電子が、どこから来るかの違いですね。
電解めっきは先ほど説明いた通り、電気を流す必要があります。
そのため複雑な形状の製品だと、電気の流れやすいところ、流れにくいところができてしまい、
膜厚を均一につけることができません。
一方無電解めっきは、液中の電子のやりとりでめっきが行われるため、複雑な形状の製品でも
均一な膜厚を付けることができます。
また、電気を流さないため、通電を取る必要がありません。
複雑な回路や、樹脂上に露出している金属部分、極小な金属部品など、通電を取ることが難しい場合でも
無電解めっきなら、めっきを付けることが可能です。
電解めっきは、電流値を調整することで、めっきの成膜スピードをコントロールすることができます。
しかし無電解めっきは成膜スピードは一定です。どんなに早くめっきを付けたくても、あまりコントロールできません。
また、自己触媒型の無電解めっきは還元剤がある限り反応が続き、めっきを厚くつけることができますが、
置換型の無電解めっきは、表面がすべてめっき被膜に覆われてしまうと反応が止まってしまうため、
膜厚を厚くつけることが難しいです。
無電解Agめっきについてまとめると、以下になります。
・複雑な形状や、通電が取れない製品に対して、均一にめっきを付けることができる。
・粒子が細かく、素材の光沢を損なわない。
・膜厚は0.2~1.0μm程度である。
無電解Agめっきは、少量の試作から承っております。
ご質問等ございましたら、お気軽にお問合せください。