ニッケルは硬度、色調、耐食性などに優れた工業的に非常に有用な金属です。
身近なものだとコンセントのプラグや、車のバックミラーにもニッケルめっきが施されています。
そんなニッケルめっきのひとつに光沢ニッケルめっきというものがあります(下図右)。
ミラーに使われるくらい反射する(光沢を示す)ようにするためには、通常のニッケルめっき液に添加剤として光沢剤を入れる必要があります。
めっきによって表面を光沢化させるには表面をなめらかにしなければいけません。
そのためには表面の凹部で析出が進み、凸部で析出が抑制される必要があります。
光沢剤には1次光沢剤と2次光沢剤があります。
1次光沢剤:凸部でのめっきの析出を抑え、ニッケルの粒子を細かくする
2次光沢剤:レベラーとも呼ばれ表面を滑らかにするが光沢はそこまでない
これらが共存して初めてなめらかな光沢ニッケルめっきが得られます。
光沢剤の入ったニッケルのめっき液でハルセル試験を行ってみました。
ハルセル試験とは、液の状態を調べたり管理したりできるものです。
仕組みなど詳しくはまた今度ご紹介します。
簡単に言うと、決まった角度で金属板を設置し電流密度に差ををつくって、めっきの仕上がりを比較するというものです。
→電流密度については過去の投稿をご覧ください
ハルセル試験の結果を見てみると光沢剤のもう一つの効果が分かります。
上が通常のニッケルめっき液、下が光沢剤を入れた光沢ニッケルめっき液を使ったハルセル試験の結果です。
このように、光沢剤を入れると電流密度が低い右側にめっきがつかなくなっています。
これにより低電流ではめっきがつかないことが分かると同時に、めっき可能な範囲がより高電流な左側に移動したことも分かります。
つまり通常のニッケルめっき液より高い電気をかけてめっきができるようになるので、めっき時間が短くなるという利点があります。