粗化Niめっきに関しましては、今までにも何度か記事をあげているのですが、今回は特に『表面粗さ』について書かせて頂こうと思います。
一言に『表面粗さ』といいましても、様々な単位・パラメータがあります。
RaとかSaとかSqとか…たくさんありすぎてややこしいので、今回は以下のパラメータで測定した結果について書きます。
Ra・・・算術的粗さ(基準長さにおけるZ(x)絶対値の平均)
Rz・・・最大高さ (基準長さの中の、もっとも高い山ともっとも深い谷の値の和)
Sa・・・算術的高さ(表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均)
文字だけで見るとなんのことやら。詳しくはこちらをご参照下さい。
粗化Niめっきは表面が非常に粗いめっきです。粒子がとげとげしています。
樹脂との密着性が良いというのは、粒子の隙間に樹脂が入り込むからなのです。
つまり、表面がより粗い方が密着性が良い。
↓
とげがたくさんあればあるほど良い。(Ra)
↓
山が高ければ高いほど、谷が深ければ深いほど良い。(Rz)
↓
表面積が大きければ大きいほど良い。(Sa)
それぞれの数値が大きいほうが、より密着性もいいのではないかと考えられます。
(Raは凹凸の量を表すものではないのですが。)
粗化Niめっきがどれほど粗い表面をしているものなのか、普通Niめっきと比較してみましょう。
普通Niめっき3μmより、粗化Niめっき0.5μmの方がRaの値は大きいことがわかります。同じ膜厚でも、2倍以上、3倍近い差があります。
こちらも同様です。粗化Niの膜厚が厚くなるほど、Rzの値は大きくなります。
こちらも同様です。同じ膜厚でも4倍近い差があります。
Ra、Rz、Saといずれのパラメータでも、普通Niめっきと比較すると大きい値が計測されました。また粗化Niめっきの膜厚が厚くなればなるほど、値も大きくなりました。
膜厚が厚いほど、より表面が粗くなるということが分かっていただけたのではないでしょうか。
・より樹脂との密着性を重視している。
・普通Niめっき後にエッチングで表面をあらしている。
上記のような方には、より強い密着性と、エッチング工程をなくすことによるコストダウンが可能になりますので、非常におすすめできるめっきです。
ただ、樹脂との相性がありますので、どんな樹脂とでも密着性がいいとは言い切れません。実際に密着性のテストをしてみなければわからないものではあります。
どのようなものか実物を見てみたい、実際に密着性のテストをしてみたいと思われましたら、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。
少量試作も承っております。