今回は、弊社と京都市産業技術研究所等で開発中のスペキュラム(銅-スズ合金)めっきについてです。
二元系合金では、その組成比が1~99%まであるわけですが、銅とスズの合金系では一般に7~20mass%のスズを含む黄色青銅と、45~55mass%のスズを含む白色青銅(スペキュラム合金)の二つが広く使われています。
スペキュラム合金の場合、Snを約50%程度共析させなくてはいけないのですが、これが非常に難しいです。高校化学でおなじみのイオン化傾向(借り返そう・・・)を思い出していただくとSn>Cuになっていると思います。これは、スズの方がイオンになりやすいということなので単純に二つの金属を溶解した場合、そのままめっきをすると銅が優先的に析出するということになります。ということで銅の優先析出を抑える方法を考えなくてはいけません。
この条件を比較的簡単にクリアできるのがシアンを使っためっき液になります。
しかし、弊社では、シアンを使わない酸系のめっき液を開発しました。
これは、環境に配慮すると共に、スズの4価からよりも2価からのめっきの方が使う電気が半分すむからということもあります。(シアンの場合めっき浴中ではSnは4価として存在します)
開発液の最大の特長は、
①0.5~10A/dm2の広い電流密度範囲で皮膜の電流密度依存性が少ないこと
②めっき浴中のCu/Snイオン比とほぼ同程度の皮膜が得られること
少し説明をしますと、めっきでは電気が集中するところとそうでないところが必ず出てきますが、この液では、そういったところでもめっき皮膜の組成に大きな違いが現れません。これが①の特長です。
②は、例えば銅を70mass%、スズを30mass%でめっき液を作ったとします。これでめっきするとほぼその比率でめっき皮膜が出来上がります。当たり前だと思われた方もいらっしゃるかと思いますが、合金めっきの場合これはかなりすごいことだと思います。
皮膜の特長は以前に少し紹介させていただきましたのでそちらもあわせて参照してみてください。
実際にビーカーワークより試作対応させて頂いておりますので、興味がございましたらお問い合わせください。