「はんだ付けって!?(Ⅰ)」の質問について、答え合わせです。
答えはすごく単純過ぎて申し訳ないのですが、ステンレスのはんだ付け用のフラックスとヤニ無しの糸はんだが売られていて、それを使えば簡単に上手くはんだ付けできます。最近は全てという訳ではありませんが、大抵のホームセンターに置いています。
私たちは、仕事柄いろいろな実験をする関係で、銅の角材同士はもちろん、銅にステンレスの針金(丸棒)や、ステンレスの部品同士をはんだ付けしなければならない時があります。
中でも、最も重宝するのは、このステンレス用フラックスです。普通のマツヤニ入りの糸はんだだけでは絶対につかないステンレスが、いとも簡単にキレイにはんだ付け出来ます。
市販のステンレス用フラックス以外に試したのは、塩化亜鉛水溶液です。 銅の角材に、鉄の丸棒が簡単にはんだ付け出来ます。先日、ステンレスの針金も、はんだ付け出来るかどうか試してみました。 予想外に(予想通り?)、キレイにはんだが乗りました。
しかしながら、最初にステンレスのはんだ付けで試したのは、驚くなかれ、 『 リ ン 酸 』 でした。
普通「リン酸」と言えば、私達のような表面処理業に携わっている者は、何かの中和をする場合や、何かのイオンを還元、又は酸化する場合の溶液に使うものだとばかり思っていました。
或る時、会社に出入りされている機械加工屋さんに、「ステンレスをはんだ付けして治具を作りたいけど、めっちゃ難しいネ!」とぼやいたら、
その人は「リン酸を使ったらはんだ付けできるって、聞いたことがあるよ。」とぼやき返しました。
その人の記憶も情報の出処も定かではなく、「ホンマかいな~?」と思いましたが、当時は藁にも縋りたい想いでいたので、縋ってみました。
やってみてビックリ!!! ホンマでした。
これは私だけの印象ですが、市販のステンレス用フラックスより、リン酸の方がはんだの流れ方や、艶が良いのではないかと思います。
但し、はんだ付けの際の刺激臭が強烈です。今日ご紹介している3種類は全て刺激臭が出ます。市販ステンレス用フラックスは軽い方ですが、塩化亜鉛溶液とリン酸は、かなりのものです。
それから、詳しい理屈は解りませんが、後ではんだゴテの先端をよく見ると、いびつになって細くなっていました。手で持って、ちょっと力を入れると折れてしまいそうなほど、 ダイエットを通り越して、拒食症になったように痩せ細っていました。
はんだゴテの先端は銅製なので、リン酸を使うことによって腐食したか、活性化されてはんだの中に溶け出したか???
市販のステンレス用フラックスでも、塩化亜鉛水溶液でも、程度に差はあるものの、同じような症状が見られます。
また、一時的にはこれらのようなフラックスを使って、ステンレス等のはんだ付けができますが、強力な酸性の薬品が部品の表面に残っていると、せっかくの部品が腐食を受けることがあり、必ず水洗いが必要です。
ここまで書いてきて、ふと気付きました。今までちゃんと比較をしたことが無いなと。
「はんだ付けって!?(Ⅲ)」で比較した結果を報告したいと思います。